空き家について

空き家について
ここでは、長く放置されている住宅や、相続後に住まなくなった家など、いわゆる「空き家」に関する情報を幅広くまとめます。
固定資産税の負担や建物の老朽化が進むほど、所有者にとっては大きな問題へ発展しかねません。さらに、空き家は地域の景観を損ねるだけでなく、近隣住民へも迷惑をかける可能性があります。
もし「いつかは処分したい」「賃貸や売却を検討したい」と考えつつも、必要な手続きや費用がわからないと後回しにしてしまいがちです。
しっかりと情報を把握し、適切な対策を取れば、活用や売却を通じて問題を解決できる可能性があります。空き家の管理や活用を検討中の方が、具体的にどのような方法や制度を利用できるのか、ぜひ確認してみてください。
空き家とは
空き家とは、国土交通省では人が1年以上住んでいない、または使われていない家を定義しています。近年は少子高齢化や人口減少の影響で空き家の数が増加し、国や自治体にとっても深刻な対策課題となっています。
所有者が別の住居へ移り住み、古い家を放置したり、相続後に相続人が利用計画を立てられずに持て余しているケースなど、理由はさまざまです。
いずれにしても、放置が続けば老朽化が進んで倒壊リスクが高まるだけでなく、周囲の景観や衛生環境にも影響を及ぼします。
また、固定資産税や土地の維持管理費などの経済的負担も決して小さくありません。空き家には法的な定義も存在し、行政が進める空家対策においては「特定空家等」という区分も設けられています。
適切に管理・活用することで、資産の無駄を減らし、安全で有効な不動産として再生させることが期待されます。
空き家の分類
空き家は主に「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「その他の空き家」に分けられます。賃貸用の空き家は、賃貸契約が成立しておらず空室になっている住宅を指し、売却用の空き家は売りに出されているものの、まだ買い手が見つかっていない建物をいいます。
一方、その他の空き家は、いわゆる「放置されている状態」が多く、今後も住む予定がないまま管理されずに残されているケースです。こうした分類によって、どんな活用策を検討できるかが変わってきます。
全国の空き家の現状
全国的に見ると、人口減少や都市部への集中化によって、使われなくなった建物が増え続けています。特に高齢者が住んでいた住宅をそのまま残してしまう例や、相続で受け継いだ実家を利用せずに放置する例が多い状況です。
地方では過疎化が進み、新築住宅の需要が限られる一方で、既存の住居が余っているという不動産バランスの偏りが指摘されています。
このため、2024年9月に総務省統計局から発表された空き家率は約13.8%となっており、空き家の総数はここ30年で2倍を超える数値となっています。行政側としては、補助金や「空き家バンク」などの制度を普及させることで流通を促し、地域活性化につなげようとしています。
それでも、売却に出しても買い手がつかない場合や、建物の老朽化が著しく安全面で問題がある物件も少なくありません。空き家の増加は、所有者のみならず地域全体の課題になっているのです。
※参考
リンク先 総務省統計局ホームページ「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」
空き家になる原因
空き家になる理由は多様ですが、代表的なものとしては「相続後に住む予定がない」「高齢の親が施設に入所して家が残った」「地方から都市部へ転居した」「転勤や就職で長期不在になった」などが挙げられます。
特に相続に伴うケースでは、名義変更や相続登記、固定資産税の負担など手続きが煩雑になりやすく、結果として放置されてしまうこともあります。
また、建物が古くなりリフォーム費用が高額になりそうだったり、立地条件が悪くて売却が難しかったりすると、どうにも手が付けられなくなるケースもあります。
こうした状況を先延ばしにすると、老朽化や治安面でのトラブルにつながりやすくなるため、早めの対策が重要になります。
空き家を放置するとどうなるか
空き家を長期間放置していると、木造住宅の場合は柱や屋根の傷みが進み、倒壊の恐れが増します。さらに、外見が荒れ果ててしまうと景観を損ねるばかりか、不法投棄や不審者の侵入といった治安上の懸念も出てきます。
また、庭の草木が伸び放題になることで近隣の敷地に影響を及ぼすなど、周辺住民とのトラブルも増えがちです。
固定資産税や都市計画税は所有者に課せられ続けますから、住んでいないのに維持コストだけが増えるという負担感も大きくなります。
さらに法的には、行政が「特定空家等」に指定する場合もあり、危険性や著しい景観悪化が認定されると、税金面の優遇措置を受けられなくなったり、修繕や解体の勧告・命令が出ることもあるため注意が必要です。

※写真は管理されていない空き家のイメージです。特定空家等認定建物ではありません。
行政(国・地方自治体)の対策
国や地方自治体は空き家問題の深刻化を受け、「空家等対策の推進に関する特別措置法」をはじめとした各種制度や支援策を打ち出しています。
建物の所有者が円滑に売却や賃貸を行えるよう、空き家バンクの整備や税制優遇を実施する自治体も増加傾向にあります。
こうした対策によって、空家が適切に管理・再利用されるよう誘導し、地域の景観や安全性を維持する狙いがあります。
しかし、手続きや条件をきちんと理解していないと、利用できる制度を逃してしまう恐れもあるため、活用希望者や所有者は最新情報をチェックしておくことが望まれます。
また、自治体によって支援メニューが異なる場合があるので、まずは公式ホームページや相談窓口で詳細を確認し、自分に合った方法を検討しましょう。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行
この特別措置法は、空き家対策を総合的かつ計画的に進めるために設けられた法律です。老朽化が進み倒壊の危険がある空き家や、周囲に深刻な被害をもたらすおそれがある物件を「特定空家等」と位置づけ、行政による実地調査や指導・勧告を可能にしています。
これにより、空き家管理を怠った所有者に対し指導が入りやすくなり、放置物件の是正を促す効果が期待されています。
立法の背景
空き家が増え続けるなか、周辺環境への悪影響や所有者不明の不動産が社会問題化しました。
空家が放置されることで、防災、衛生、景観等で地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の生命、身体、財産を守るため、そして空き家という不動産の活用を促進するため「空家等対策の推進に関する特別措置法」ができました。
空き家の定義
空き家を簡単にいうと、「おおむね年間通して居住その他の使用がなされていない建物」を指します。
ただし、実際にはお盆や正月など定期的に利用されている場合や、長期不在のケースの可能性もあるため、自治体の実務上は具体的な調査や判断が行われます。
※参考
リンク先 愛知県庁ホームページ「参考6 空家等対策Q&A」
「空家等」とは
この法律おいて、『「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。』と定義されています。
「特定空家等」とは
この法律おいて、『「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。』と定義されています。
空き家の譲渡所得特別控除
一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得に対する特別控除を受けられることがあります。
たとえば、被相続人が住んでいた古い住宅を売却する際、耐震基準を満たすリフォームを行うか解体して土地だけを売却するなど、国が定める条件を満たせば大きな控除額を適用できるのです。
この制度を活用すれば、相続で得た空き家の処分に伴う税負担を軽減できるため、思い切って売却・解体を検討しやすくなるというメリットがあります。
※参考
リンク先 国税庁ホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
空き家バンクについて
空き家バンクとは、所有者が使っていない住宅情報を自治体が一元的に登録・公開し、それを購入または賃貸希望の人と結びつける仕組みのことです。
地方自治体が運営するところが多く、地域への移住・定住促進や古民家再生などの目的も含め、積極的に活用されています。
空き家バンクの活用
空き家バンクを利用すれば、売却や賃貸の相手を自力で探すよりも効率的にマッチングが進む可能性があります。
自治体担当者が仲介や問い合わせ対応の支援を行ってくれる場合もあるため、不動産流通に不慣れな方にとって心強い窓口となることが多いです。
※参考
リンク先 北海道庁ホームページ「北海道の空き家対策」
「全国版空き家・空地バンク」について
「全国版空き家・空地バンク」は、複数の自治体情報をまとめて検索できるウェブサイトで、地方移住希望者や地域活性化に関心のある人にとって有用な情報源となっています。
地方自治体の空き家バンクを個別に回らなくても情報を一括で得られるため、より広範囲の物件を検討できます。
※参考
リンク先 国土交通省ホームページ「空き家・空き地バンク総合情報ページ」
自治体の空き家に関する支援制度について
自治体によっては、解体費やリフォーム費の一部を助成する制度や、固定資産税の減免措置など、空き家対策を支援する独自の取り組みを行っているところもあります。
条件や助成額は地域により異なるため、対象となりそうな制度は必ず自治体の公式情報をチェックしましょう。また、活用事例を公開している自治体もあるので、参考にすることで具体的な計画を立てやすくなります。
空き家相談体制
空き家問題に関する相談は、自治体の窓口や専門の相談センター、不動産業者など複数の選択肢があります。
特に自治体では、建築士や法律の専門家が定期的に無料相談会を開催していることもあるので、相続や名義変更など法的なハードルがある場合には積極的に活用しましょう。
不動産仲介会社に相談すれば、現地調査や売却査定を受けられる場合もあるため、処分方法を検討する際の一歩として有効です。
さらに、税理士や司法書士などがサポートするサービスも増えており、必要に応じて連携して進めることができます。
どの専門家に依頼すればよいか分からない場合は、まずは自治体や関連団体の総合窓口へ問い合わせ、必要に応じて紹介を受けると安心です。

空き家に関する相談内容
空き家についての相談内容は多岐にわたります。例えば建物や土地、費用や税金、人に関わる法律関係など、悩みどころは多彩です。
以下では主要な相談例を挙げますので、ご自身の状況に近い項目があれば参考にしてください。思わぬリスクを回避するうえでも、早めに専門家や自治体へ相談するのがおすすめです。
必要に応じて複数の専門家の力を借りると、問題解決がスムーズに進む場合が多いでしょう。
土地や建物に関する内容
空き家相談の中でも、実際に存在する物理的な建物や土地に関わる項目は大変多いです。所有者が遠方に住んでいる場合は、現地での点検や管理が滞りやすく、老朽化や近隣トラブルのリスクも高まります。
建物の管理・老朽化
定期的な換気や簡易な補修を怠ると、木材の腐食や雨漏りが進み、建物の寿命が著しく短くなります。倒壊の危険性が出る前に、専門業者に点検してもらうのが理想的です。
土地境界や借地などの権利関係
土地の境界があいまいだと、売却や賃貸を進める際にトラブルとなることがあります。また、借地権付き建物の場合は地主との契約関係を確認しておく必要があります。
家財や仏壇の整理
空き家に遺されている家財道具や仏壇の扱いに困る例も多いです。専門の不用品回収業者や供養サービスを利用すれば、安全に整理できる可能性があります。
近隣迷惑
庭木の越境、屋根や壁の崩落などで近隣住宅に被害を及ぼすリスクがあり、放置すると賠償問題に発展することもあります。定期点検や伐採を怠らないようにしましょう。
登記未了
相続などをきっかけに登記名義が曖昧なままの物件は売買や賃貸で問題が起こりやすいです。法務局や司法書士へ依頼し、名義整理を早めに行うことが大切です。
利活用方法(売買、賃貸、リフォーム、転用など)
住む予定がない建物でも、リフォームして賃貸化したり、別の用途へ転用したりする余地があります。まずは不動産業者に相談し、市場価値や需要を確認しましょう。
住宅診断・耐震診断
建物の老朽化や耐震性をチェックする「住宅診断」は、売却やリフォーム計画を立てる際に有効な手段です。地震リスクの高い地域では、耐震診断も重要になります。
お金に関する内容
空き家の維持や利活用には、税金やリフォーム費用など多額の費用がかかる場合があります。こうした経済的な検討をおろそかにすると、後々資金計画で困ることにもなりかねません。
税金(相続税、贈与税、固定資産税・都市計画税)
空き家を相続した際にかかる相続税や、子どもへ譲った際の贈与税、継続して負担する固定資産税や都市計画税など、支払うべき税金は複数に及びます。各税の優遇措置や減免制度の有無を確認するとよいでしょう。
利活用に係る費用(リフォーム、管理、税金など)
リフォームや修繕で建物を整える場合、それなりの資金が必要になります。加えて定期的な見回りや清掃、保険など、管理費用も忘れてはいけません。
賃貸時の利回り
空き家を賃貸に出す場合は、家賃収入と運営費を天秤にかけて利回りを試算することが大切です。想定収益が見合わないと、結局は空き家のままになってしまうケースもあります。
公的支援
自治体によっては、リフォーム費用や家賃補助に関する支援策を用意していることがあります。公的支援を活用することで、費用負担を軽減する可能性があります。
人に関する内容
所有者や相続人の個別事情により、法的・人的な手続きが絡むこともしばしばです。制度を理解して円満に進めるためには、専門家のアドバイスが不可欠になります。
相続・贈与(法定、遺言、登記など)
法定相続や遺言による相続方法の違い、そして登記名義の変更など、空き家を巡る相続手続きには注意が必要です。複数の相続人がいる場合は特に慎重に調整しましょう。
遺言書
将来的に空き家が残ることを見越して、遺言書で処分方法や管理責任を定めておくと、相続が発生した際にスムーズに手続きが進む場合があります。
係争
相続人同士で意見が合わず、空き家の所有や処分方法を巡って係争になることがあります。法的手続きを視野に入れる際は弁護士などの専門家に相談してください。
成年後見制度(法定、任意、登記制度)
高齢の所有者本人が判断能力を十分に保てない場合、成年後見制度を利用して財産管理を行うことがあります。空き家の処分や管理契約にも関わるため、適切な後見人を選ぶことがポイントです。
信託制度(家族、民事、商事)
空き家を含む不動産を信託することで、受託者に管理を任せる方法もあります。家族間での民事信託や商事信託などがあり、将来の不安を軽減する手段として検討されます。
空き家対策の課題と取組み
空き家対策を進めるにあたっては、所有者の意識向上や地域の連携、法整備のさらなる充実など多くの課題があります。
一方で、各自治体や民間団体が積極的に対策を試みているところもあります。適正な管理を保ちつつ、必要に応じて解体やリフォーム、賃貸などの活用方法を検討することで、空き家問題を地域の資源として転換していくことが期待されています。
下記では代表的な課題と取り組み方を紹介しますので、自分に合った選択肢があるかどうか、ぜひ確認してみてください。
空き家の発生予防
そもそも空き家が新たに生まれないようにするため、相続時の手続きを簡易化する施策や、建物が利用される仕組みづくりが重要です。
事前に親族間で話し合い、どのように処分するかを決めておくと不要な放置を避けられます。
空き家の適正な管理
空き家ができたとしても、適正に管理されていれば周辺への悪影響は最小限に抑えられます。定期巡回や修繕を行うためのサービス利用も選択肢の一つです。
費用はかかりますが、後々のリスク低減を考えれば先行投資ともいえます。
空き家所有者と利活用希望者のマッチング
行政が運営する空き家バンクや、不動産会社の仲介を通じて、所有者が物件情報を公開し、賃貸や購入を望む人との接点を増やすことができます。
これにより、使われていない住宅を必要とする人との出会いが実現しやすくなります。
用途変更を含む再生・リノベーション
住宅としての利用が難しい建物でも、店舗や宿泊施設などにリノベーションすることで新たな価値を生み出す事例があります。
自治体によってはリフォーム補助金が充実している場合もあるため、予算や目的に合わせた検討が必要です。
地域における空き家の活用
地方では、空き家を活用して移住者や起業家を呼び込む取り組みが活発です。コミュニティスペースやシェアハウス、交流拠点として生まれ変わるケースも増えています。
地域全体の魅力向上に寄与する事業として注目されています。
空き家の除去および除去後の空き地の活用
老朽化が進んで再生が難しい場合、解体することで土地を更地にし、新たに駐車場として利活用する例もあります。解体費用には助成金が用意されている自治体があるので、積極的に情報収集を行うとよいでしょう。
空き家対策推進の調査・政策研究等の充実
国や自治体、大学などが連携して実態調査や研究を行い、効果的な政策を立案する取り組みが増えています。こうしたデータに基づいた施策によって、地域に合った空き家対策がより進めやすくなることが期待されます。
以上のように、空き家問題は所有者だけでなく地域全体に影響を与える重大な課題です。しかし、国や地方自治体の対策や空き家バンクなどの制度を活用すれば、安全かつ有効な活用手段を見つけることは十分可能です。
適切な管理や売却、賃貸、リフォームなどの選択肢を検討し、専門家や行政相談窓口を上手に利用しながら、一歩ずつ問題解決に向けて行動を始めてみましょう。

